世界中を旅するように

世界中を旅したい、自由に暮らしたい!そんな夢みがちな私と料理人の夫との毎日をゆるーく綴ります。

それは待っていてくれたのだろうか。

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夫の実家へ帰った際に、
お義父さんは車でいろんなところへ連れていってくれた。
何もないけどね、と仰る通り、
確かにコレといったものはないのだけど、
それでも見たことのないものだったから、楽しかった。

お義父さんはどうやら、私に写真を撮ってほしかったようだ。
私の趣味がカメラ、というのは夫から話していたようだったけど、
結婚式でさえ花嫁自身がバシバシ写真を撮っていたのを見て、
「ああ、この嫁はホントにカメラが好きなんだな」と思ったのだろう。
車を止めては「ここからの山が~」とか「ここからの景色が~」
とか言って、撮影ポイントを教えてくれた。

一緒に乗ってる夫は、だまって外を見ていた。
お義母さんは、ただ静かに助手席に座っていた。
退屈しているわけではなく、ただそこにいた、という感じ。

ふと、映画「127時間」のセリフが頭をよぎった。

この岩はぼくを何億年も前から俺が来るのを待っていた

主人公が、渓谷をひとり歩いていたら落ちてしまい、
一緒に落下した巨大な岩にはさまれて身動きできなくなって、
誰も助けの来ない谷間で独りきり、死を覚悟した時の言葉。

この岩は、俺を待っていたんだな、という宇宙的で哲学的なセリフは、
絶望的な状況に、光がともるような言葉だった。

や、別に私がお義父さんたちと車に乗ってるのが絶望的なわけではなく!
ただ、一年前まで他人だった人が、お父さん、お母さん、
になっている不思議が、私の中にあるのです。
そしてそれがとても心地いいっていうのが、更なる不思議。

そして夫を見守り、育んだ山々は、
おおらかに波打ち、水墨画のように淡く連なっていて。
遠い昔から、私がここに来るのを待っていてくれたのだろうか。
私が小さな頃、まだここを知らず、夫のことも知らないうちから、
この山々は私が来るのを待っていたのかな。

そんなに大げさに感じる必要はないんだけれどね。
ただ、ほんと、
お義父さんたちも、この車も、そしてこの山の空気も、
ずっとずっと、今までここに来るのを待っていてくれたような、
そんな気がしたのです。

 

 

今週のお題「私の年末年始」☆